労使間のトラブルを未然防止のために、社内書式を緻密に作成し、文書記録として残す事をお勧めします。

 

 

人事・労務面での問題が解決せず、最終的に裁判に発展した場合は、

証拠として「文書の記録」が重視されることになります。

 

きちんとした書面を交わしていなかった、あるいは、内容に不備があった、

一筆足りないがゆえに不利益な結果となった・・・

等を防止するためには、早い段階において、事案に即した文書を作成し、保管しておくことが大変重要です。

 

書籍やインターネット等の雛型で、中には対処できることもあるとは思いますが、

「企業側の意思を形式的として伝える」という役割のみではなく、

その文書が、

「適切な内容に加えて、トラブルを完全に防止する効力があること。」を念頭に置いた内容で、弊事務所は企業様に、ご提案させて頂きたいと考えております。

 

主な人事労務の紛争例ですが、


・労使間の契約事項や権利義務関係について、正確に記載された内容の文書の合意をしていなかった。

・労働者側に対して口頭の連絡のみであった。

・文書は交付していたのであったが、内容に不備があった。


上記の様なケースが多く見受けられる様です。

 

<どのような場合に、文書を交わしたほうが良いのでしょうか?>

 

・募集、採用、試用期間

・試用期間の社員の本採用の拒否

・経歴詐称等による採用取り消し

・試用期間の延長

・就業規則、労働契約の変更

・個別労働契約の条件を変更

・労働時間、割増賃金に関する事項

・時間外労働、休日労働

・シフト制勤務

・フレックスタイムの導入、運用

・年次有給休暇の時季変更

・計画年休制度の活用

・会社または上司からの残業命令

 ・残業禁止命令、その他、残業に関しての注意書

・配置転換、役職変更、昇格、降格

・メンタルヘルス、休職

・長期休職の結果、復職が難しい場合の対応

・問題社員の対応、懲戒処分、減給の制裁

・社員が横領、その他、刑事事件を起こしてしまった時

・退職

・定年退職

・諭旨解雇、普通解雇、懲戒解雇

・早期退職者の募集について、退職勧奨

・有期契約労働者の雇止め、または、契約更新

・セクシャルハラスメント、パワーハラスメント対策、対応時の文書

 ・福利厚生(社宅関連など)


このような事案には、

入念なトラブル回避を検討した文書を用意し、

保管しておくことが望ましいと思われます。

 

◾️働き方改革法案を前提に、就業規則の変更を予定したとして、意見書が提出されない場合の対応案を簡単に記載致します◾️


*当サイト記載の就業規則についてのページもご参照ください。

https://www.sr-sakaioffice.com/就業規則の作成-改定について/

 

就業規則の作成、変更の届け出の際、

「過半数組合ないし過半数代表者の意見書」の内容は、同意である必要はありません。

(労働基準法90条2項)

 

労働基準法90条1項で言われている「意見を聴かなければならない」というのは、

「諮問をする。」との意味合いであって、

同意や協議をするということまで要求している訳ではありません。

 

*参考通達 昭和24年3月28日 基発第373号

 

 

・意見書が提出されない場合について

過半数組合ないし過半数代表者が、意見書の提出を拒む、

または、書面に記名押印をしないという場合もあります。

 

通達では、「意見を聞いたことが客観的に証明出来る限り、これを取り扱われたい。」

(昭和23年5月11日基発第735号 昭和23年10月30日基発第1575号)

があります。

 

意見書の提出がない場合でも、 

「就業規則の変更の届け出は可能」です。


しかし、ここで重要なのは、

「意見を聴いたということを客観的に証明することが出来るために、

どのような書面を準備し、備えておくのか?」

ということです。

 

労働者側が提出しないということは、何らかの理由が必ず存在する筈です。

会社側が、その理由を鑑みることなく、意見書を不提出のまま就業規則の変更を強行してしまった場合、

労使間の齟齬から、問題が大きくなってしまうことが容易に想像されます。 


予測される内容として、

 

① 不利益変更の問題

② 労働基準法の手続きの違反

③ 労働組合法上において、不当労働行為として問題となる

 

上記のような事態が発生する可能性があります。

信頼関係の悪化も当然に予想されます。

 

しかし、企業様にとりまして、

*必要と経営陣側が考える内容で、

就業規則の変更を行わなければ、

これから変容するであろう働き方改革法案や

社会情勢、

そして、企業様の、経営の実情や状況には、

対応が出来ない事態となってしまいます。

       


対応策ですが、企業様側としましては、 

後日のトラブル回避のために、 


*「意見聴取を確かに求めた事実と、その経過を、書面として残しておく。」

ということが、大変重要になると、

私は考えております。

 

*受領のサインや、内容証明郵便(配達記録付き)での送付等、

形跡が記録できちんと残る形を強くお勧めします。

 

また、不提出が予想される場合ですが、

やり取りや交渉にはどうしても時間を要しますので、

実際に意見書の添付が出来ない場合の労働基準監督署への届け出に関しましては、

(監督署ごとで取扱いや判断も異なる可能性もありますことから)、

事前に前もって事情を説明し、

受理していただくために必要とされる文書等のアドバイスを受けておくことが

望ましいと思われます。

 

 

◾️以上、簡単にご説明させていただきましたが、

ご参考になれば幸いです。

 

実際の対処には、個別のご状況等を入念に精査し、問題が発生している場合は早期円満解決を目指しながら、

それぞれの企業様のニーズに適した文書のご提案を、

誠心誠意ご対応させていただきます。

 

お気軽にご相談ください。